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加工原理(レーザー光の物質による吸収過程の違い)

熱加工は熱過程に、アブレーション加工は光化学過程と多光子吸収過程を含みます。

熱過程

  • 金属の場合、自由電子で吸収されるので波長によらず吸収され、吸収されたエネルギーは熱に変わります。長波長ほど反射率が高くなるため吸収率が低くなります。したがってCO2レーザーでは銅の加工は苦手なので、短波長のTHGレーザーやFHGレーザーを使用します。

  • 分子性固体(ガラス、セラミック、ポリマーや樹脂)の場合、構成分子の熱振動と共鳴し励起することで熱に変わります。物理的には、電子レンジでの食品の加熱と同等です。共鳴する波長帯が赤外にありますが、分子構造に応じて異なるので、材料に適したレーザー波長を選択する必要があります。

光化学過程

  • 半導体、絶縁体、分子性固体に対する吸収過程です。

  • バンド間遷移や基底状態から励起状態への電子励起により吸収が生じます。吸収が生じるためには、遷移に必要なエネルギー(バンドギャップエネルギー)を上回る光子エネルギーを持つレーザー光が必要になります。光子エネルギーはレーザー光の波長に反比例するので、短波長レーザーが利用されます。

  • 一例をあげると、THGレーザーにとって溶融石英ガラスは透明です。これは波長0.355μmの光子エネルギーが溶融石英のバンドギャップエネルギーを超えていないから吸収されないことを示しています。

多光子吸収過程

  • 半導体、絶縁体、分子性固体に対する吸収過程です。

  • 多光子吸収では、複数の光子の合計がバンドギャップエネルギーを上回ることで吸収されます。つまり、THGレーザーにとって透明な溶融石英ガラスでも多光子吸収によれば加工することが出来ます。多光子吸収を起こすためには、十分な輝度にまでレーザーを集光する必要があり、パルス幅が短く、輝度を上げやすいピコ秒、フェムト秒レーザーが適しています。

加工分類

光吸収機構

物質

物質例

波長

熱加工

自由電子

金属

アルミ、銅

短波長ほど吸収大

分子振動

分子性固体

PET、ポリイミド、
ガラス、石英

赤外

アブレーション加工

バンド間遷移

半導体、絶縁体

ガラス、石英

紫外

多光子吸収

ピコ秒、
フェムト秒レーザー

Laser_basics_light_absorption_plot2.png

※ポリイミドの吸収率データのプロット範囲は波長1.7μm以上です。

※PETに関しては波長0.4μm~2μmの範囲です。

※窒化ケイ素に関しては波長1.54μm以上の範囲です。

※図の吸収率は多光子吸収を含みません。